あいますにあいます

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2010年 01月 07日

1時間SS書きました。

1時間ぶりです。小六です。

1時間ということで、1時間m@sterにこっそり参加してみました。
お題は「映画」。

ということで以下SSです。





  あなたが好きになったから

  あなたが悲しそうな顔をしているから

  あなたの笑顔が見たいから



               ……ねぇ、笑って?






   ―――― "Smile" ――――

               respected from Charlie Chaplin "modern times"




 初めて会ったのはいつだったかな。確か事務所ですれ違った時だと思うんだ。
 気難しい子だなぁと思っていたんだけど、たまに見せるその笑顔が好きだった。

 どう話しかけたらいいのか分からないから、とりあえずじーっと見つめるでしょ。
 するとあなたはむっとした顔で私を見るの。何見てるのよ、って感じで。
 本当は笑いかけてほしいんだけど、だけど私を見てくれるだけで天にも昇っちゃう位に嬉しいんだ。



   天にも昇っちゃう? 
 
   そう!まるで最新鋭のジェット飛行機に掴まって急上昇する位の勢い!

   街を越えて、山を越えて、雲を突き抜けて、私の心は急上昇するんだ!



 飛行機のパイロットは不思議そうな顔をして私に尋ねた。確か、ミキっていう名前だったと思う。


ねぇ、そんなアブナイところにいたら、いつかきっと落っこちちゃうよ?
えへへ、だけどもっと色んな景色を楽しみたいんだ


 もっと高度を上げてよ、そう私が言うと、ミキはぐんと飛行機の舵を切る。
 急に飛行機が傾く。翼部に掴まっていた私は思わず落っこちてしまいそうになった。
 力の限り翼部を握り締めて、かろうじてバランスを崩すのみにとどまる。
 ぞっとしない顔で彼女の方を見ると、彼女は大きく欠伸をしていた。


ちょ……っ!!運転中に居眠りなんてしないでよぅ
あふぅ。自分で運転していないのに、いい御身分なの


 そう言ってミキはぐるんと飛行機を回転させた。
 鉄の心臓が動かす大きな鷲の動きに私が耐えきれるはずもなく、指が翼から離れる。


……あ
ぐっどらっく。なのー



 人が一人落ちてしまうというのに、ミキはさっきと変わらない表情で私に手を振っていた。
 マイペースにも程がある。

 そうして私は真っ逆さまに空から落ちていった。


   どんがらひゅーん!!


 嗚呼神様、ひどいです。私はただ自分の気持ちを喩えで表現しただけなのに。この仕打ち。
 さようなら大好きなあなた。あなたのことは一生忘れないよ。
 この気持ちはずっとずっと心の中に閉まっておくね。


   そう!深い海の底にひっそりと眠る貝のように!
   
   魚もいない、光もない、音もない、私の心は深く沈んで消えてなくなるんだ!


 いま Diving! 私は頭から海へ落っこちたのでした。盛大に波しぶきが水面から飛び散る。 
 そうして、深い海の底、私の心は静かに沈んでいったのでした。……と綺麗に終わらせてくれないのが世の常で。


   ばしゃん!!


 突っ込んだのは静かな海じゃなくて、どこかのドブ川。
 何故だかいつのまにやら服がチュチュになっている。……いやこの場合は水着でしょ!!



あらあら~。迷っちゃったのかしら~



 やたら間延びした声が聞こえたので、その声の方を向くと、妙齢の女性が桟橋に腰掛けていた。



迷っているならどうして焦らないんですか、あずささん
だって~。焦れば道が見つかるってこともないでしょう?
だからといって、そんなにのんびりすることもないと思うんですけど…



 びしょびしょに濡れた服に閉口しながら、私はあずささんに反問する。



じゃあ、あなたはどう思ってるの…?
競争です。だってあの子は美人だから



   そう!恋は戦争!弱肉強食のサバイバル!
   駆け引きという戦略を駆使して、誘惑という銃を手に戦場に突っ込むんですよ!!



  ががーん!!



そう、戦争
へっへー。そんなこと言うなんて思わなかったよ



 銃声がこれでもかという位に行き交う中、眼鏡をかけた女性と私と同じ位の美少年が銃を片手に笑っていた。



いや、ですから。『喩え』の話ですかr……



四の五の言わずに突っ込んできなさい!
そんなに臆病なら、僕が先に行っちゃうよー


それは断る!!


 私はへらへらと笑っている美少年から銃を奪い取ると、必死に戦場を駆け抜けた。
 地雷銃弾くぐり抜け、私はようやく戦場から抜け出した。


   抜け出したところは、見慣れた道路。目の前には事務所

   道路の脇には、あなたが膝を抱えて泣いていた

   夜が明ける少し前。空が地平線から赤く染まっていく


 私は銃を捨て、あなたの下に駆け寄った。
 座り込んで泣いていたあなたは、その冷たい瞳で私を射抜く。ばきゅーん!



……なんでここにいるの?
千早ちゃんが泣いている気がしたから
別にあなたを呼んだ覚えはないわよ
うん……。分かってるよ



   「私はこれからどうしたらいいの?」


 小さい呟き。だけど悲痛な叫び。私の心もじくじく痛んだ。
 私は千早ちゃんの隣に座り、話しだした。


   「元気出して。死ぬなんて言わないでよ」


 昨晩、千早ちゃんの両親が離婚したとプロデューサーに聞いた。


   「きっと飛べるよ。どこまででも」


 千早ちゃんはレッスンを受けてから、行方をくらませてしまった。
 思いつくところを必死に探して、探して、やっと見つけた彼女の姿。もう離さない。


   「だから笑おう? ね?」


 私は自分の指を口に入れ、ぐぐーっとヘンテコな笑顔を作った。
 それを見た千早ちゃんは、ちょっとポカンとした顔をして、くすくすと笑いだした。



あなたって、変わってるわね
そうかなぁ?普通だよ?



 それが千早ちゃんが私に笑ってくれた、初めての日でした。











 おしまーい!!
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by 6showU | 2010-01-07 23:03 | SS


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