あいますにあいます

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2010年 01月 02日

Club namco 始めました。

お久し振りではないですが、小六です。

最近またアイマスホスト部の流れが活発になっているようです。
ニコマスファンの一人として、企画をこっそり楽しみにしております。そしてこっそり応援しております。
だけど僕はホストと聞くと、
 「ドンペリ入りましたー!ドン!ドン!ドンドンドン!あなたのハートにロッケンロー!」
…とか良く分からないコールをしてしまうイメージしか湧いてきません。困りました。

そんなわけで、勝手に俺得設定でバーテンダー千早さんと飲んだくれ春香さんSSを書いてみました。
4年後になるのでしょうか、女性の色香が滲み出る素敵な年齢ですよね。

以下、SSとなります。







 頬杖をついて、私はぼんやりと目の前の水槽に目を遣る。水槽の中の熱帯魚は青白い蛍光灯に照らされて優雅に泳いでいた。まだ客が少ない夕暮れ時。店内をたゆたうのは Alice In Wonderland の心地よい旋律。席に座った時に出されたグラスを中指でなぞりながら私は時間を潰している。
 四年越しの待ち人は未だ来たらず、時間だけが無為に流れてゆくのを感じた。グラスに浮かぶ氷の影がテーブルの上に揺らいでいる。やはり来てはくれないか、それならば帰ってしまおうか。そう思って席を立とうとしたときである。

「お客様。マティーニはいかがですか」

 落ち着いた声。まるで流れる音楽に合わせたかのように、その声はとても自然に溶け込んでいた。
 あまりにも自然だったので、私は自分が呼ばれているとは思いもしなかった。
 ナッツの入った小皿が目の前に出されて初めて、私は自分が呼ばれていたことに気付く。我に返ったように声がする方を見ると、そこには優しく微笑むバーテンダーが一人。

「誰か、お待ちですか」
「あ、はい」

 バーテンダーは後ろの棚に置いてあった瓶を二つとり、それを静かにシェイカーに注ぎ込む。
 最初は穏やかに、そして段々とリズムよくシェイカーを振るその姿が美しかった。

「ウォッカとマティーニ?」
「えぇ、ステアせずに、シェイクで」

 よくよく聞いてみるとそのバーテンダーの声は女性だった。
 艶やかな長髪を後ろで一つに結ったその姿に、私は思わず見惚れてしまう。シェイクが終わり、カクテルはシェイカーからグラスへ。透明なグラスの底に入ったオリーブが白く透明な液体に沈められていった。

「口説いても、何も出てきませんよ?」

 私がそう言うと、彼女は苦笑いを含めながら、そっとカクテルグラスを私の方に出した。

「初めてお越しになられた方へのサービスです。お代は結構ですよ、どうぞ心ゆくまでお楽しみ下さい」

 そう言ってバーテンダーは私の下から去った。綺麗に磨かれた黒檀のテーブルの上に揺れる影。
 私はグラスを手に取り、そっと口をつける。舌に広がるベルモットの甘みが心地よい。
 優しいピアノと燻されたギター。隣で常連さんであろう男と話す彼女を横目で眺めながら、私は一人時間を過ごした。

 その女性バーテンダーは千早という名前だと後に聞いた。そしてこれが私と彼女との出会いだった。






   ―――― Vesper ――――





 23時、バーの客が自らの世界に潜り込み始める夜の時間。私はいつものスツールに腰掛ける。
 しばらく熱帯魚を眺めていると、水が入ったグラスが小さな音と共に目の前に置かれた。
 そのバーテンダーは困った顔をして私の前に佇んでいた。Elsa のゆったりとした音がジュークボックスから聞こえる。


「春香…流石にこの時間にバーに一人でくるのはどうかと思うわよ」
「えへへ、だって給料日だったから。ちょっと嬉しくて来ちゃった」

 私の言葉を聞いて、千早ちゃんは肩をすくめた。
 私より実は年下なくせに、その仕草は実に大人びていている。

「全く…。もともとお酒が弱いんだから、加減してよね」
「千早ちゃん程じゃないよ」
「私は嗜む程度にしか飲まないわ。初めて来てすぐに酔い潰れたあなたとは違う」
「あー、ひどい。マティーニなんてキツイお酒を出した千早ちゃんが悪いんだよ」

「まぁまぁ。春香ちゃんも千早ちゃんも仲良くね」


 穏やかな声で私達二人を諭したのはバーのマスター。名前は確かあずささん…だったはずだ。ホルターネックドレスに隠された身体がなまめかしい。
 隙ばかりの仕草に客の目が惹きつけられるのも訳ないのだが、千早ちゃんによるとかなりの酒豪とのこと。
 人は見た目で判断しちゃいけないね。

 そんなあずささんは他のお客さんに呼ばれたのか、「それじゃ楽しんでいってね」と言い残して私達の下から去っていった。
 残された私達は、ぼんやりとあずささんが向かった先を眺めて、軽く息を吐いた。


「そもそも、普通ウォッカベースのカクテルなんて初めての人に出さないよ。出すならギムレットとか」
「ギムレットは、あの時のあなたには早すぎたわ」
「おいしいじゃない。私、甘いの好きだよ」


  …The long goodbye.


 千早ちゃんは慣れた手つきでオレンジにナイフを入れながら何かを呟く。
 余りにも小さな呟きは、私の耳に入る前に落ち着いた店内音楽にするりと溶け込んでしまった。

「千早ちゃん、今なんて?」
「ジンは昔のあなたには少し苦すぎたのよ」
「…分からない」

 千早ちゃんから差し出されたカクテルグラスを受け取り、私はぐいと一口飲んだ。あまいあまい桃の味、カンフォート・スクリュー。彼女から出されるカクテルはどれも甘い。バーボンの匂いがすっと鼻腔を抜けた。
 ソプラノサックスの哀愁漂う演奏を聞きながら、私は千早ちゃんに尋ねた。

「それにしても、良い音楽だね」
「…音楽は、あずささんがお酒の次に大事にしているものだから」

 千早ちゃんはバーの奥にあるピアノに目を馳せた。何か大切な記憶を思い出すような瞳。
 埃こそ被ってはいないが、そのピアノの蓋が開けられたのを私は見たことがない。
 あずささんはこのバーを開く前は一角の歌手だったらしい。以前知人に聞いてみたところ、彼女は知る人ぞ知る名歌手だったようである。その人がなぜ。そう思って尋ねてみたことがあったのだけれど、ほんわりとしたいつもの笑顔ではぐらかされてしまった。

「そういえば、千早ちゃんはどうしてここでバーテンダーをしているの?」
「あずささんのファンだから。後、ちょっとね」
「音楽、好きなの?」
「それなりに」

 おそらくそれなりという程ではないのだろう。このバーの音楽を選んでいるのはもっぱら千早ちゃんという噂だ。最終的に決定するのはあずささんらしいけれど。それでもこの年齢でこれだけの音楽の知識を持っているというだけでも珍しい。
 小さな声なのに自然と通って聞こえる声も、レコードを変えるために色々と思案する姿も、ただの音楽好きというわけではないということを伺わせた。

「ふぅん」

 だけど聞いたところで教えてくれる性格ではないし、私は黙ってチョコをかじった。苦い。
 しかめた顔をする私を見て、千早ちゃんは静かに口元を緩めた。

「春香は、音楽が好き?」
「好きだよ。お仕事にできる位に」
「春香が音楽関係の仕事をしているなんて、知らなかったわ」
「うん、まだ駆け出しだけどね」
「………そう」

 若干思案した後、千早ちゃんはカウンターの裏に隠れた。カウンターの裏はちょっとした引き出しになっていて、あずささんと千早ちゃんの私物が色々入っているらしい。
 控えめの照明に照らし出されたバーの看板を眺めていると、千早ちゃんは数枚のCDケースを目の前のテーブルに置いた。

「これは?」
「よく来て頂ける常連さんへのプレゼント」
「見てもいい?」
「今はダメ。家に帰ってから見てくれると嬉しいわ」

 一体なんなのだろうか。私はカクテルを口にしながら、そのCDケースを手に取った。

「きっと気に入ると思うわ」
「そっか。楽しみにしてるね」

 それから後はいつものように千早ちゃんと話して、たまに酔っ払いって絡んでくるオジサマに閉口しながら(そういうお客さんは何故だかあずささんに裏口に呼ばれることが多い。なにがあったのかは想像したくない)、私は夜の時間を過ごした。
 徐々に揺らいでくる意識。重くなる瞼。

「…春香。そろそろ」
「まだのみたいー」

 はぁ、と困ったようなため息が聞こえた気がする。


   あぁ、グラスに入った光ってきれいだなぁ

   なんだかねむたくなってきたかも


 少しずつ暗くなってくる視界。私は抵抗することもなく瞼を閉じた。



  ◆ ◆ ◆ ◆ ◆




 夜も更けてきた。お客の声も音楽もないこの部屋はどこか物憂げな感じがする。兵達が夢の跡、そんな言葉が思い出された。そんなとりとめもないことを考えながら私はカウンターで一人酔いつぶれる春香のもとに近づく。

「春香、もう閉店の時間よ。起きて」
「やだー。千早ちゃんと一緒にかえるー」

 春香が私と同じマンションに住んでいると分かったのはずいぶん前の話。それを知った春香は、それ以降この店に顔を出して酔い潰れては私に背負われて帰るのが常となった。

「まるで同伴ね」
「…あずささん。冗談は程々に」
「うふふ、ごめんなさい」

 バーの奥の水場からひょっこりと顔を出したあずささんは、すぐに洗い物に戻った。

「だけど、ずいぶん春香ちゃんにお熱なのね」
「それを言うならあずささんも、じゃないんですか」
「さぁ、どうでしょう」

 千早ちゃんがそんなに楽しそうに話すお客さんって、春香ちゃん位だから。
 洗い物をしながらあずささんは言った。キュっと水道の蛇口が閉められる音がした。
 相変わらず何を考えているのか分からない人だ。そう思いながら私はカウンターを出て、春香の肩を叩く。

「春香、そろそろ帰るわよ」
「んー、ちはやちゃーん」

 ふいに春香の両手が私に回される。近づいた唇から漏れる吐息は、バーボンの深い紅茶の匂いがした。
 脱力した彼女の身体、火照った首筋。図らずも心臓が跳ね上がる。

「ちょ…!!春香…っ!」
「えへへー。千早ちゃんかわいいー」
「…もう。風邪ひくわよ」


 酒癖が悪い客は余り好きではないのだけれど、春香が酔っている姿だけは何故か嫌にならない。
 猫のようにじゃれつく春香の動きに閉口しながらも、私は彼女の背中にそっとコートをかけた。


   私がどれだけあなたのことを大切にしているかなんて あなたは知らない
 

「それでは先に帰らせて頂きます」
「はーい。送り狼には注意してね、春香ちゃん」
「ふぁーい」
「あずささん!」
「ほら、早くしないとおねーさん怒っちゃうわよ」
「…もう、あずささんったら」

 そうして私と春香はバーを後にした。背中に感じる温かさが心地よい。
 少しずつ明るさを取り戻してゆく街角。やわらかいネオンが静かに宵闇に溶けだしている。

「…まったく、私の気も知らないで」

 吐いた息は群青色の空に消えていった。  















俺得だからそれでいいと思った。後悔はしている。続かないよ!!
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by 6showU | 2010-01-02 13:46 | SS


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