あいますにあいます

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2009年 12月 03日

はるちはSS書きました。

お久し振りです。小六です。

最近はあはーんうふーんなSSばかり書いております。ですが僕は小六です。
あはーんうふーんも好きなのですが、ほくほくまったりも大好きです。

なぜこんなことを言い出したのかというと、今までのSSを見返したからです。

読み終わる → どうしてこうなった?! → ほくほくまったりを書こう

だいたいこんな感じ。
そう思ったら、ネタの神様がネタをくれました。ベタですが、とっても大好きなネタです。 
こういう純ピュアなものを書くと、すさんだ心が癒されます。

はるちはって素晴らしい…!

それでは、以下SSとなります。










目の前の信号がちかちかと点滅して赤信号に変わった。
私は歩道の前で立ち止まり、ほぅと息を吐く。吐いた息は白い綿菓子になって、音もなく空に溶けていった。
息の向こうの空を見上げる。凛と青くて、歌を歌えばどこまでも声が響いてゆきそうな空だった。


「ちはやちゃーん」


道路の向こう側から、聞き慣れた声。
いくつもの車が道路をせかしく行き交った後、私はその声の主に向かって笑いかけた。


「おはよう、春香」





      ――――――――― モーニングシグナル ――――――――――




信号が青に変わったのを見るやいなや、春香は私のところに走り寄ってきた。
厚手のコートにやわらかそうなマフラー。彼女の姿を見ると、あぁ冬がやってきたのだなぁと実感する。
その彼女といえば、コートのポケットに何かを入れていたらしく、危なっかしい手つきでそれを取り出した。


「はい、千早ちゃんもどうぞ」
「缶コーヒー?」

直接手で持つと熱くて持てないのだろう。春香はコートの袖を手袋代わりにしてコーヒーを私に手渡した。


「うん、さっきコンビニで買ってきたんだ」
「あなた確かコーヒー苦手だったはずじゃないの?」
「…今日から好きになりました」


  だって冬に温かいコーヒー飲むのって、なんだか大人っぽいし
  プロデューサーさんも千早ちゃんもコーヒー飲んでるから、おいしそうだなって思っただけだし
  私もちょっと位は飲めるかなって


そんな感じのことを、春香はマフラーに顔を埋めてぼそっと呟いた。
まるで駄々をこねる子供みたいだ。私は思わず笑ってしまった。


「あー!千早ちゃん笑ったでしょ!」
「ふふふ、ごめんなさい。別に無理して飲むほどおいしいものでもないと思うわよ」
「じゃあ何で千早ちゃんは飲んでるの?」
「さあ…何となく、かしら」
「ふぅん」


缶コーヒーをちびちびと飲みながら私達は事務所に向かう。いつもの道と聞き慣れた雑踏。
とりとめもない会話を交わして歩いているうちに缶コーヒーは大分ぬるくなっていた。
それでもまだコーヒーの熱は残っていて、寒さでかじかんだ身体にはちょうどよい温もりをもたらしてくれる。
いつもは缶コーヒーなどは飲まないのだが、こんな少し寒い日にはいいものかもしれない。
私は最後の一口をごくりと飲み干した。
春香といえば、うぇ、とか、にが、とか、そんな悪態をつきながらコーヒーと格闘している。


「だから無理して飲むことないって言ったのに」
「無理なんてしてないよ」
「もうすぐ事務所着くわよ」
「が、頑張って飲みます」
「そう、ならいいけれど」


私は今まで通りのスピードで事務所に向かう。
いつも通りの時間に来たのだ、いつも通りのスピードで歩かなければ事務所に遅刻してしまう。
春香といえば、少し立ち止まって私と缶コーヒーの間で視線をさまよわせている。


「春香?いったいどうした…」
「…千早ちゃあん」

コーヒーなんて苦くて飲めないよう。そんな顔つきだった。


「それならそのまま捨てればいいじゃない」
「そんなのもったいないよ」
「だからといって、飲めないんでしょう?」
「ううう…」


  ほら、だからいわんこっちゃない


予測していたこととはいえ、その対処方まで考えていたわけではない。そもそも私が考える必要もない。
だからといって、そのままほったらかすこともできない性分がもどかしい。軽くため息をつく。

私は春香の方に歩を戻し、彼女が持っているコーヒーを手に取った。


「要は、このコーヒーがなくなってしまえばいいのでしょう?」
「うん、まあ、そうなんだけどさ」
「じゃあ頂くわね」
「ほぇ?」


缶に入ったコーヒーの量を確認して、私はそのコーヒーを飲み干す。
空になった缶コーヒーが二つ。私は近くにあったゴミ箱にそれを捨てる。
ふと彼女の方を見ると、彼女は顔を真っ赤にして私の方を見ていた。


「ち、ち、ちは、ちはやちゃん」
「どうしたの?」
「そそそそ、それ、間接キスだよ…!」
「間接キス…って、そんな意識するほどのものじゃないでしょう」


  いやだけどそのあの

もごもごと言葉にならない呟きをこぼしながら、春香はマフラーに顔を埋めた。
いつもは元気なのに、こういうちょっとしたことで臆病になってしまう彼女。
そんな彼女を見ると、何だか心が温かくなってしまう。


「ふふふ」
「あー!千早ちゃん笑ったー!」
「ごめんなさい。だって」


  だって貴方がかわいすぎるんだもの


最後の言葉は、吐く息と雑踏の音にまぎれた。






         おしまい









   ―――― おしまいのおまけ ――――





「はーい、カット」

「お疲れ様でした」


その声を聞き、私はほっと緊張を解いた。
今回のロケはどうやらコーヒーのCMだったらしく、私と春香がその配役として抜擢されたそうだ。
監督いわく、「ほっと一息 あたたかい気持ちを手の平に」をイメージしたCMを作るとのことだ。

ちなみに春香はコーヒーが苦手という設定であったが、今はもう克服している。
現場のベンチに座って、ディレクターさんが持ってきてくれたであろうコーヒーを美味しそうに飲んでいる。


「おいしそうね」
「うん。新作だって。千早ちゃんも飲む?」
「私はまだいいわ」
「えー。もったいないよう」
「全部飲めそうにないから」


撮影に慣れてきたとはいえ、一発OKが出ることは少ない。
今回もその例にもれず、何回も撮り直しをしていた。
結果、必然的に飲むコーヒーの量が多くなる。

コーヒーは好きだが、あまり飲むと身体に悪いことは知っている。
そもそもコーヒーなんて代物は、水のようにぐびぐび飲むものではない。


「まぁ、後でディレクターさんから一つもらって飲むことにするわ」
「ふぅん」


春香は少し不満そうな顔をして、一瞬何かを思いついたような顔をして、私にいたずらっぽく微笑みかけた。


「ねぇ、千早ちゃん」
「何?」
「ちょっとこっちきて」


キョロキョロと周囲を見回して、ちょいちょいと私を手招きする。
何か大っぴらに話すことができないことでもあるのだろうか。私は春香の座るベンチの横まで歩く。


「どうしたの、春香」
「千早ちゃん、ちょっと耳貸して」
「ええ」

春香はコーヒーを一口飲んでから、私の方を見遣った。
やはり隠し事でもあるのだろうか、そう思って彼女に耳を貸そうと顔を近づける。


  それが彼女の策略のうちとも知らずに


春香は私の顔が射程距離に入るやいなや、その両手を私の後頭部に回した。


「はる…!」


  やわらかい感触とほろにがい味


ちゅ、とまるで私達だけに聞こえるように音を立てて、彼女は私から離れた。
私といえば、何が起こったのか今一つ理解できずに、ぼうっと彼女を眺めている。


「おいしいでしょ?」

してやったりといった表情で、無邪気に笑う彼女。

「まぁ、それなりにね」

私は彼女に向かって苦笑いをした。そんな朝の一時。


  あぁ もう やっぱりあなたにはかなわない













 はるかさんがかわいすぎていきるのがつらい\(^о^)/
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by 6showU | 2009-12-03 11:59 | SS


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