あいますにあいます

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2009年 09月 29日

はるりつSS

御無沙汰しております。小六です。
生放送見たり、リアルの課題をこなしたり、まぁ色々ありました。

某スレのまとめサイトを見たら、自分のSSが掲載されていて心臓が痛くなりました。
あれですね、わかっていても、恥ずかしいですね。

そんなこんなで以前書いたSSでまとめサイトに掲載されていないものをこちらで供養することにしました。
別にSS書くのがめんどくさくなったとかじゃないよ!!

それでは、以下SSとなります。
ERO書けない病はもう開き直ることにしました。書けないものは書けないです!\(^о^)/






「ただいま帰りましたー」
「はい、お疲れ様でした」
今日の仕事を終え、事務所へ戻った私に小鳥さんは笑顔で挨拶をしてくれた。

私は事務所のホワイトボードに『天海:帰宅』と書き入れる。
午後7時。夏のお陽様がようやくその仕事を終えてお休みをし始める時間。
まったく、いつも同じ時間に仕事が終わるお天道様がうらやましい。
お天道様が休みだからって、私達アイドルが休んでいいという理由にはならないもんね。

「『太陽"に"ジェラシー』ですね、こりゃ」
我ながら寒いシャレを言ってしまった。

 ― まったくもう、そんなんじゃ一流アイドルになれないわよ ―

いつもなら呆れた口調でそうツッコミを入れてくれる人がいるはずなのであるが。

「…あれ?」
その『いつもの人』の声が聞こえない。
いつもならまだ仕事中のはずなんだけどなぁ。




 ――――――― 765プロは夜の7時 ―――――――




私は半分照明が消えて、少し薄暗くなった事務所で、必死にパソコンに向かう小鳥さんに聞いてみた。


「小鳥さん、律子さんは今日は帰ったんですか」
私の声に気付いた小鳥さんは、いったんキーボードを打つ手を止め、私の質問に答えた。

「あぁ、律子さんならまだ事務所だと思うわよ」
「でも、律子さんの姿が見えないんですけれど」
「律子ちゃんなら仮眠室で仮眠をとってるわよ」
「あ、そうなんですか」

律子さん、最近忙しいからなぁ…と思いながら、仮眠室の方に視線をやる。
仮眠室とは名はいいものの、単に大きめのソファが置いてあるだけの部屋だ。

「少し、様子を見てきてもいいですか」
「ええ、あの調子だと、もうぐっすり眠ってるころでしょうから、起こさないようにね」
「了解です」
小鳥さんを背にして、出来るだけ音をたてないように、私はそっと仮眠室のドアノブに手を伸ばす。

「春香ちゃん、春香ちゃん」
「はい、何でしょう?」
律子さんを起こさないようにか、若干小さな声で小鳥さんは私に話しかけた。

「まるで、律子さんの顔を見ないと家に帰れない子供みたいね」
「!!! ちょっ! 小鳥さ…!!」
「しーっ!!」
小鳥さんは尖らせた唇に人差し指を軽く当てて、『静かにね』と私に注意した。

「ううぅ…」
今すぐに否定しておきたいところだが、律子さんを起こしてはいけないし、ここは引き下がらざるをえない。
なんとなくモヤモヤとした気持ちを抱きながら、私は仮眠室のドアを開けた。



◆ ◆ ◆ ◆



「入りますよー」
カチャリと開けたドアから、顔だけ部屋に出して小声でそう言った。

「……」

当たり前なのだが、返事はない。
足音をたてないようにソファまで近寄ってみると、そこには律子さんが眠っていた。

眼鏡は外しているけれど、その右手には、次の季節のライブの企画書が握られている。
大方、ソファに寝転びながら企画書に目を通していたんだろうな。


律子さんは努力家だ。


いつもキビキビとした態度で私達をリードしてくれる律子さんだけど、
その裏では私達の何倍も努力してくれるのを私は知っている。
そのくせ、私達アイドルにはそんな風をみせないのも、私は知っている。


ときどき、その頼もしい姿が、いつ壊れてしまうか、不安になるときがある。



「律子さん、企画書持ちながらだと、ぐっすり眠れませんよ」
そう呟きながら、私は律子さんの手から企画書を取ろうと手を伸ばした。
「…んんん」
その時だった。律子さんは空いている方の手で私の手首をぎゅっと握った。

「うわひゃっ!!」
突然の出来事に、私は素っ頓狂な声を上げる。

「……すぅすぅ」
「(…あーよかった。律子さん起きてないよー)」

ほっと溜め息を一つして、
「律子さん、私帰りますね」
そう呟いて、私は仮眠室を後にした。…のは、この時から少し後の話。

「…むん」

企画書をソファの横のサイドテーブルに置いた後、
私は自分の手首を掴んだままの律子さんの手をほどこうとした。

「…離れないよぅ」

思いのほか強い力で掴まれていたのだろうか、軽い感じではほどいてくれそうにもない。
「(あー!!どうしたらいいんですか! プロデューサー!!)」
ひーんと泣きごとを言いたくなる。
そうしている間に、掴まれた手首からじんわりと律子さんの体温が私に伝わってくる。

…なんというか、少しドキドキするなぁ…

そんな想いを抱きつつ、私は仕方なく律子さんの指を一本ずつ自分の手首から離すことにした。



一つ目、華奢な人差し指は簡単に手首から離れた。
二つ目、律子さんの指先は丁寧に手入れがされていた。律子さんもアイドルだから当たり前なんだけど。
三つ目、薬指、律子さんはこの指に誰の指輪をはめるのだろうか。

四つ目の小指を離そうとしたとき、律子さんは呟いた。



「美希…大丈夫…」

それはとても幸せそうな寝顔だった。
律子さんが以前美希をプロデュースしていたことは知っている。
律子さんと美希は仲が良い。これも知っている。

だけど、なんでだろう。
心の奥にモヤモヤとした何かが燻っている気がするのは。

私は律子さんの隣にしゃがんで、律子さんの寝顔を眺める。
いつもは眼鏡に隠れてあまり見えないけれど、長く整ったまつげ。
幸せそうな口元には、控え目のルージュが引かれている。
律子さんは、この美しい唇を、誰に口づけるのかなぁ。

願わくば、その人が私であってほしい。
ねぇ、律子さん、私がそんなこと律子さんに対して思っていると知ったら、軽蔑しますか。
軽蔑されても仕方ないかなぁ…だけど、ちょっと悲しいかなぁ

そんなことを思いながら、律子さんの寝顔を眺める。
「もっと、頼ってくれても、いいんだけどなぁ」
しゃがんだまま頬杖をついて、私はそう呟いた。

………

気付いたら、律子さんにキスをしていた。

本当に、気付いたら、だった。
キスをする直前のことはあまり覚えていない。

自分が律子さんにキスした。そのことを私の脳が知覚した瞬間、私は勢い良くのけ反った。

ゴチン!!

「痛っ!!」
のけ反った結果、私の頭はすぐそばのサイドテーブルに激突した。…思いのほか痛い。
ズキズキと痛む頭。バクバクと高鳴る心臓。

「ファーストキスの思い出がこれだなんて、ひどすぎるなぁ」
「こうなったのも、律子さんのせいですからね」
不意打ちをした罪悪感というか、照れ隠しというか、私はドアを閉める直前にこう言い残してみた。
まだ寝ている律子さんには、届かないとは思うけれど。


律子さんが可愛すぎるのがいけない。


…どうしようもなく責任転嫁だなぁ。
苦笑いしながら私はドアを閉める。たぶんまだ顔が真っ赤だと思う。
私は鈍痛がする頭をさすりながら立ち上がって、仮眠室を後にした。




◆ ◆ ◆ ◆




「……」
左手に違和感を覚えたから、少し起きていた。

ぼうっとしていると、唇に柔らかい感触。
それが春香だと気付いたのは、口づけの直後の彼女の小さな悲鳴があったから。

春香は綺麗になった。アイドルとしてデビューしてから、その魅力はぐんぐん成長している。
アイドルとしての経験が長い私から見ても、その魅力に心奪われるときがある。

 『アイドルになるために生まれてきた少女』

天海春香にはその言葉が最も似合う。
そんな少女が、自分に、キスだなんて。

「…」
私は片腕を顔に乗せて、大きくため息をついた。
「こりゃ、どうしたもんかねぇ」
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by 6showU | 2009-09-29 02:39 | SS


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